研究課題
本プロジェクトではRNAの質的な側面、特にRNAの転写後修飾に着目し、RNAが関与する遺伝子発現調節機構と高次生命現象の探索と解明を目的とする。イノシン化部位の同定に関しては、公開されている約500万のESTデータベースとヒトゲノム配列の比較から絞り込まれたA/G置換部位をA-to-I エディティング候補部位とし、ICE法を用いたゲノムワイドな解析を行っている。昨年度より、エディティングデータベースの本格的な構築を目指し、ゲノム全体におけるイノシン化部位の網羅的同定に着手した。これまでに、約90%を超える候補領域の解析が終了し、すでに20,000箇所を超えるイノシン化部位を特定することに成功した。解析した領域内には情報科学的に予測されたイノシン化部位が約2割程度含まれているため、約8割が完全に新規部位であることが判明した。同定されたイノシン化部位の多くはmRNAの長鎖3'UTR上に見出されていることから、miRNAによる翻訳抑制効果との関わりについて検証実験を行った。具体的には、ルシフェラーゼレポーターの3'UTRにmiRNAのターゲット配列を挿入し、エディティング部位にはイノシンを模倣したGに置換し、エディティングの有無によるmiRNAの翻訳抑制効果を測定した。その結果、miRNAのseed配列がエディテイングされた際に、miRNAの抑制効果がキャンセルされることを示唆するデータを得た。現在、実際に培養細胞に発現しているmRNAでエディティングによって翻訳活性が制御されている実例について探索を行っている。
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http://rna.chem.t.u-tokyo.ac.jp/