研究課題
オートファジーは、真核生物に普遍的な細胞内大規模分解システムとして、飢餓時の栄養源確保から病原体排除まで多彩な機能を持つ。これらの機能の多くは生命維持に関わっており、オートファジーの多面的活用による生存戦略が存在するといえよう。オートファジーの役割の解明が進む一方で、その分子機構はいまだ謎が多い。本研究課題では、生存戦略としてのオートファジーという観点からその分子解剖を行う。本年度は以下の成果を得た。1)2種類存在したベクリン複合体の一方に特異的なタンパク質をRNA干渉法で発現抑制すると、オートファゴソーム形成が亢進した。もう一方の複合体に特有のタンパク質のノックアウト細胞を作成したところ、その細胞ではオートファゴソームが形成されなかった。ベクリン複合体を介した複雑な制御機構が存在することが明らかになった。2)病原細菌を捕獲するオートファジーにのみ働くrabタンパク質が隔離膜に局在し、隔離膜同士の融合を制御している証拠を得た。また各種SNAREタンパク質の解析から、病原細菌に対するオートファジーにおいて働くSNAREの候補を同定した。3)神経変性疾患の原因となる延長ポリグルタミンを含むタンパク質を認識しオートファジーを誘導するタンパク質の候補について、RNA干渉法で発現抑制を行ったがオートファジーの誘導は阻止できなかった。現在別の方法を模索中である。4)通常隔離膜に局在するAtg16Lを強制的に細胞膜に分布させると、オートファゴソーム膜結合タンパク質のLC3も細胞膜に局在化した。LC3自身は局在化のシグナルを持たず、Atg16Lによってオートファゴソーム(隔離膜)にリクルートされることが判明した。
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