研究課題
オートファジーは、真核生物に普遍的な細胞内大規模分解システムとして、飢餓時の栄養源確保から病原体排除まで多彩な機能を持つ。これらの機能の多くは生命維持に関わっており、オートファジーの多面的活用による生存戦略が存在するといえよう。オートファジーの役割の解明が進む一方で、その分子機構はいまだ謎が多い。本研究課題では、生存戦略としてのオートファジーという観点からその分子解剖を行う。本年度は以下の成果を得た。LC3はproLC3として生合成されると直ちにC末端22残基が切断されLC3-Iとなった後、フォスファチジルエタノールアミンと共有結合しLC3-IIとなる。LC3-Iは細胞質に、LC3-IIはオートファゴソーム膜に局在するが、LC3-IIのオートファジーにおける役割は判明していなかった。我々は、proLC3のプロセッシングを特異的に行うタンパク質分解酵素Atg4Bの不活性変異体が、当該酵素反応の産物であるLC3-Iに強固に結合しLC3-IIの形成を阻害するという奇妙な性質を持つことを見出した。その結果、Atg4B変異体発現細胞ではオートファジーが抑制される。しかし、オートファゴソームの前駆体である隔離膜は形成されていた。ただし、隔離膜の末端が融合して閉鎖しオートファゴソームとなる段階が阻害され、未閉鎖のものが蓄積していた。従って脂質化LC3は、隔離膜の閉鎖(末端の融合)に働いていることが明らかになった。また病原菌特異的オートファジーに関与するSNAREタンパク質の同定に成功した。
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