研究課題/領域番号 |
19207018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河村 正二 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (40282727)
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研究分担者 |
太田 博樹 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (40401228)
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キーワード | 色覚多様性 / オマキザル / クモザル / 国際情報交換 / カナダ: 英国: コスタリカ / オプシン / 視物質 |
研究概要 |
コスタリカ共和国サンタロサ国立公園に生息するクロテクモザルとシロガオオマキザルの糞のサンプルからDNAを抽出精製し、赤-緑オプシン遺伝子の遺伝子型判定を継続した。マントホエザルの糞サンプルの採集を開始した。赤-緑オプシン遺伝子と中立対照遺伝子の非コード領域を含めた塩基配列の集団解析を行ない、平衡選択の検証を継続した。高度に多型的なマイクロサテライトマーカーによるDNA分析を行い、群れの遺伝的構成、血縁関係、群れ間の遺伝的分化についての情報を得つつある。ミトコンドリDNAの配列を集団サンプルに対して決定する作業を開始した。超小型スぺクトロメータを用いて様々な条件下(時刻、天候、天蓋の下、直射日光の下など)で環境光を測定し視覚対象物の色度計測を継続した。各個体の採食品目及びそれらの採食頻度を個体追跡により調査し、同時に採食時の近接個体の同定、他の感覚の使用の状況(匂いを喚ぐ、触るなど)を調査した。 これらにより赤-緑オプシン遺伝子は他の平均的なゲノム領域に比較して、極めて高い種内変異を持つことを明らかにしつつある。その一方で、行動観察結果は、果実採食において、果実の葉のコントラストのうち明度のコントラストが色覚型によらず重要であり、3色型色覚が果実採食において有利となっていないことを明らかにした。さらに色覚型によらず、葉との視覚情報のコントラストの低い果実に対しては、嗅覚をより多用することを明らかにした。これらは色覚進化を考える上で重要な知見である。
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