研究概要 |
1)変異体のマイクロアレイ解析から、遺伝子によって発現量の増加や減少、無変動などが認められ、関与する遺伝子の整列化が可能であることが示された。f102変異はイネ種子胚乳登熟後期に発現する遺伝子の発現調節に関わるOsFLO (She et al.,2010)-shr3変異はADP-Glc.のアミロプラストへの取り込みに関与するNDP-Glu.トランスポーターをコードするOsBT1-1遺伝子に起因することが明らかとなった。 2)MNU受精卵処理後代のTILLING解析により、約500M_2集団で全ての遺伝子についてナンセンス変異が得られることが示唆された(Satoh et al.,2010)。本処理により胚乳変異2,000系統、形態変異6,000系統を作製・維持しており、本変異プールは、イネゲノム中に含まれる全ての遺伝子に10個以上の変異を含むサチュレーションミュータントライブラリーであることが示唆された(Satoh et al.,2011)。 3)登熟過程でタンパク質の発現が異なることを、PPDKを含む多数の酵素で確認した。同一酵素でも可溶性画分と澱粉画分では発現の時期や様式が異なり、機能分化していることが示唆された。 4)澱粉合成の基質ADP-Glc.の合成に関わるAGPaseLSをコードする遺伝子の変異shr1について、24の複対立変異を作製した。澱粉蓄積を強く抑制する7系統は全て1塩基置換変異で、3つはナンセンス変異、4つはATP代謝にかかわる部位のミスセンス変異で、複対立変異は遺伝子機能の解析に極めて有効であることが示された。 5)胚乳登熟の極初期~乳熟後期に極小型、糊熟中~初期に小型、並びに糊熟期~黄熟期に完熟(大)型のサイズの異なる3種の澱粉粒が存在することを見出した。其々澱粉構造が異なることから、胚乳澱粉の形成は3つの異なるシステムが働くことが示唆された。
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