研究課題
本研究は、既存の栽培試験データと生育モデルを用いた作物品種の環境応答性の評価および分離集団の多環境試験を利用した遺伝子と遺伝子ネットワークレベルの遺伝解析を通じて作物の環境応答特性の遺伝的メカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、全国8地点の長期イネ品種試験結果を解析し、移植〜出穂日までの日数が短縮(平均すると25年間で約7日)しているものの有意な収量低下傾向は認められないこと、既存の発育モデルパラメータがこれらの長期傾向を再現できることを示した。遺伝子型(G)×環境要因(E)の相互作用を検出するために、コシヒカリ/Kasalath戻し交雑自殖系統をつくば市(4月と7月植えの2作期)、石川県野々市町、福岡市、石垣市、ベトナムハノイ市、ベトナムタイグエン市において栽培し、出穂期および生育関連形質を調査した。その結果、試験地ごとの平均到穂日数で69日から119日に及ぶ極めて広い環境変異を得たとともに、系統ごとの早晩性が試験地によって異なる場合もあるなど、温度と日長条件に対する発育応答のG×Eを解析する上で貴重なデータが収集できた。さらに、発育モデルのパラメータを用いて、イネ品種の出穂特性を分類する方法を開発した。このモデルを用いると、G×Eの影響で多様に変化する品種の出穂特性から、環境の影響を除去して遺伝子型の特性を反映した品種分類が可能となった。また、イネ以外の作物における環境応答性把握のため、ダイズ草姿の時系列的変化を面像解析の手法により捉え、個体種子生産性と最も高い相関を示す発育段階の草姿を明らかにした。
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養賢堂
ページ: 27-47
Journal of Experimental Botany 60
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Plant Root 3(印刷中)
Plant Production Science 12(印刷中)
昭和堂
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