研究課題
世界の人口は爆発的な増加を続ける一方、環境汚染や地球温暖化、病害虫による被害の拡大により慢性的な食糧不足が続いている。この深刻な食糧問題を打破するため、地球環境との調和をはかりつつ食糧生産の飛躍的向上を成し遂げうる農業生産技術体系の確立は急務である。本研究は、これらのことを念頭において、遺伝子導入植物を用いた病害防除のための基礎研究を行うものである。前年度は、NbWRKY8の5カ所の推定リン酸化部位のうち、少なくとも79番目と86番目のセリン残基がMAPキナーゼ活性に依存して組織内でリン酸化される事が明らにした。本年度は、NbWRKY8のDドメイン配列の役割を調べた。Dドメイン配列に変異を加えると、in vitroでNbWRKY8とSIPK間の相互作用が顕著に阻害され、リン酸化も阻害された。さらに、SIPK/NTF4/WIPKを活性化する恒常活性型MEK2変異体と変異NbWRKY8を組織内で発現させた結果、79番目と86番目のセリン残基のリン酸化が著しく抑制された。これらの結果は、NbWRKY8がDドメインを介してMAPキナーゼと相互作用し、リン酸化されることを示している。この説をさらに検証するために、DドメインおよびSPクラスターを有するWRKY遺伝子を探索し、7つのWRKY遺伝子を新たに得た。これらをサイレンシングして、灰色かび病菌およびウリ類炭疽病菌を接種した結果、4つのWRKY遺伝子サイレンシング区において病斑の拡大が確認された。DドメインおよびSPクラスターを有するWRKYは、MAPキナーゼと相互作用し、リン酸化されることで抵抗性を付与する可能性を示している。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (12件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Nitric Oxide
ページ: doi:10.1016/j.niox.
J. Gen. Plant Pathol.
巻: 77 ページ: 152-162
Plant Cell
巻: (印刷中,掲載確定)
http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/%7ebio4283/index.html