研究課題/領域番号 |
19208006
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 迪弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60111837)
|
研究分担者 |
池田 素子 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20262892)
新美 輝幸 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (00293712)
|
キーワード | 昆虫 / 核多角体病ウイルス / 抗ウイルス応答 / アポトーシス / 全たんぱく質合成停止 / アポトーシス阻害たんぱく質 / カスパーゼ |
研究概要 |
これまでの研究により、マイマイガ(Lymantria dispar)由来のLd652Y細胞は、さまざまな核多角体病ウイルス(NPV,nucleoplyhedrovirus)に対して容易にアポトーシスを誘起すること、ならびにアポトーシス阻害遺伝子p35をもつAutographa californica NPV (AcNPV)感染では、アポトーシスではなく全たんぱく質合成停止を起こすことが明らかになっている。一方、マイマイガNPV(LdNPV)感染では、アポトーシスも全たんぱく質合成停止も起こさずに増殖する。これまでに、LdNPVがコードする全たんぱく質合成停止阻害遺伝子としてhost range factor 1(hrfl)が同定されているがアポトーシス阻害に与る遺伝子は明らかにされていない。 本研究では、hrf1とLdNPVゲノム断片をLd652Y細胞にコトランスフェクションした後、p35欠損AcNPVを感染させ、多角体産生の有無を調べることにより、LdNPVがコードするアポトーシス阻害遺伝子を探索した。その結果、LdNPVゲノムのBamHI切断断片をNotIで切断した約7.8kbpの断片で多角体産生が認められ、アポトーシス阻害遺伝子がこの断片にコードされていることが示唆された。ついで、この断片にコードされている6つの候補遺伝子について調べた結果、LdOrf109ペップチドにおいて強いアポトーシス阻害作用が認められた。この遺伝子は、既知のバキュロウイルスのアポトーシス阻害遺伝子とは相同性を示さないことから、新規のアポトーシス阻害遺伝子であることが示唆された。現在、この遺伝子の発現解析やRNAi法などにより、この遺伝子がアポトーシス阻害遺伝子であることを確認するのための研究を行っている。
|