研究課題
(1)イネのサイトゾル型グルタミン合成酵素1;3(GS1;3)とNADHグルタミン酸合成酵素2(NADH-GOGAT2)これらの新規GS1;3とNADH-GOGAT2の機能を解明するために、レトロトランスポゾンTos17の挿入によりそれぞれホモ接合体となった遺伝子破壊変異体を獲得し、発現と表現型を調べた。GS1;3は穎果特異的に発現しており、登熟の過程では、全穂重・全もみ数は野生型と同程度であるが、変異体では1穂あたりの籾数が減少する表現型を示した。現在、発芽過程における変異体の解析を進めている。一方、NADH-GOGAT2遺伝子は、成熟葉身や葉鞘で、特に夕方に発現が高まる傾向を示した。プロモーター::GUSを用いた発現解析では、葉身・葉鞘の維管束組織や葉身基部の大維管束と節網維管束で発現していることが判明した。登熟まで育成したところ、草丈の抑制、穂重の減少、精もみ数の減少がみられ、全体として20-50%の収量の減少が認められた。この他、GS1;2やNADH-GOGAT1の遺伝子破壊変異体も獲得でき、次年度以降、GS/GOGATの機能分担に関して大きな成果が得られるものと期待される。(2)窒素利用効率の向上低アンモニウムイオン供給に応答して、根の伸長・バイオマス・窒素吸収を促進するQTL領域から、原因遺伝子であるZn-finger型転写活性化因子を単離した。転写因子であることは、酵母を用いた系で確認した。本遺伝子は、日本型イネでは成熟タンパク質を翻訳し、この転写因子があることで上記の表現型を負に制御する機能を持つことが判明した。インド型カサラスでは、途中に停止コドンが生じて成熟タンパク質は翻訳されず、本遺伝子産物がないことで上記の表現型を示すことが明らかとなった。日本型イネにカサラスのこの領域を導入し、相補試験も行い、この遺伝子機能を確認できた。QTL領域の発見から領域を狭めた所までをまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。
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Amino Acids (未定, In press)
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http://www.agri.tohoku.ac.jp/cellbio/index-j.htm