研究課題
遺伝子組換えポプラの野外試験が4年目を迎えて、キシログルカナーゼ遺伝子の発現レベル、根の分析、葉の分析を遂行した。隔離圃場は、富栄養区と貧栄養区からなり、組換え体trg300-1、組換え体trg300-2及び野生株の3種のラインで、ウェスタンブロット並びに酵素活性のレベルを測定した。その結果、2つの組換え体それぞれにおいて富栄養区における発現レベルが半分以下に低下していることが認められた。加えて、細胞壁におけるキシログルカンの減少率も低かった。根においては、組換え体それぞれに生育の低下が見られたが、圃場であるために定量的な測定は出来なかった。そこで、根のプロテオミクス解析を行ったところ、ストレス系遺伝子の発現が見られたが、それ以上に多量の遺伝子発現が抑えられていた。すなわち野生株に比べて様々な遺伝子発現のレベルが低下していた。葉の分析については、もともと組換え体は培養室や温室で陽葉の性質を示していたが、野外でも陽葉の表現型を示した。プロテオミクス解析から、リグニン生合成の遺伝子とストレス耐性遺伝の発現が抑えられていることが示された。キシログルカンは、一次壁においてセルロースミクロフィブリルを架橋していることが分かっている。キシログルカンに対する抗体CCRCM-1を用いたコンフォーカル顕微鏡ならびに走査型免疫電子顕微鏡観察から、二次壁においてもキシランやグルコマンナンとは異なった様式で存在していることが示された。枝においては、偏差成長することも示唆された。隔離圃場の組換えポプラは全て伐採されたので、今後1年間は圃場における萌芽の出現を管理する。
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