研究課題
野生動物の場合、各々の動物種で実験動物とは異なる外来化学物質の代謝的活性化(毒性化)経路を持っており、実験動物のみめ研究結果からそのリスクを外挿することは難しい。化学物質による生態系の破壊は、最も検知しにくく、しかも不可逆的な場合が多い。化学物質による「発癌」という状況は、これまでの予備的な調査からも、野生動物の問で、少しずつであるが、確実に進行していることは明らかである。化学発癌が生態系に与える影響についてはまったく情報が無いが、その実態調査は獣医学領域における急務である。そこで、本研究では、ヒトが生産・放出する化学物質の希少大型野生動物への化学発癌リスクを初めて評価し、生物保全のための研究を推進する。今年度は様々な階層の生物種からシトクロムP450の中でも発がんに関与するCYP1A1、およびその転写を調節する因子であるArylhydrocarbon受容体を中心としてクローニングとcharacterizationを行った。哺乳類では特に有蹄類のCYP1A活性と発現量が高いことが明らかとなり、その原因についてビタミンの関与が示唆された。鳥類では、実験動物であるニワトリについて、ほかの鳥類(魚食性鳥類、猛禽類)に比べてArylhydrocarbon受容体の感受性が高いことが明らかとなった。
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