研究課題/領域番号 |
19208029
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
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研究分担者 |
八巻 良和 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30111488)
志賀 徹 宇都宮大学, 農学部, 教授 (30089932)
居城 幸夫 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10151416)
飯郷 雅之 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10232109)
横須賀 誠 日本獣医生命大学, 獣医学部, 准教授 (90280776)
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 助教 (90282384)
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キーワード | ハシブトガラス / 錐体オプシン / オプシン遺伝子 / 嗅神経細胞 / 嗅上皮 / 嗅粘膜 / カロチノイド |
研究概要 |
ハシブトガラスの光受容の分子的基盤を解明するため、オプシン遺伝子群の網羅的cDNAクローニングを試みた。その結果,ハシブトガラスの網膜から、明暗視に関与するロドプシン、ならびに、色覚に関わる4種類の錐体オプシン(紫外線感受性オプシン、青色光感受性オプシン、緑色光感受性オプシン、赤色光感受性オプシン)のcDNA全長塩基配列が決定された。このほかにもvertebrate ancient longオプシン、メラノプシン、ピノプシンという3種類の新規オプシンの部分塩基配列が決定された。よって、ハシブトガラスは少なくとも8種類のオプシン遺伝子を持ち、我々ヒトが考えている以上に複雑な光受容システムを持つことが明らかになった。 カラスの嗅神経細胞と嗅球の組織学的特性:カラスの嗅神経束に順行性・逆行性トレーサーを投与し、鼻腔における嗅上皮の領域(嗅神経細胞の分布)と嗅神経細胞の形態および嗅球への嗅神経細胞の軸索投射パターンを確認した。その結果、カラスの嗅上皮は左右鼻腔後部の外背側面の狭い範囲に存在していることが明らかとなった。また、嗅神経細胞の形態は、嗅覚が発達している他の動物の嗅神経細胞に極めて類似していた。さらに、左右嗅上皮に分布する嗅神経細胞の軸索は、左右それぞれ1本の嗅神経束を形成し、それぞれ癒合した嗅球の左右半分の糸球体層に独立して投射することが明らかとなった。カラスの嗅覚神経系は解剖学的に極めて乏しいが、極めて特化した嗅覚能を有している可能性が示唆された。
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