1.葉縁体型APX一過的抑制による酸化的シグナリングの初期イベントの解明 100μMエストロゲンを処理し、48時間後のtAPXの一過的抑制植物(tAPX XR)を用い、マイクロアレイ解析を行った。その結果、コントロール植物(GUS XR)と比較し、tAPX XRでは365個の遺伝子の発現が2倍以上に上昇し、409個の発現が1/2以下に抑制されていた。発現が誘導/抑制された遺伝子にはシグナリングに関与する遺伝子(転写因子、タンパク質キナーゼ、タンパク質分解系)が多く含まれていた。この中から、64遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより詳細な解析を行ったところ、いくつかの遺伝子はマイクロアレイ解析の結果と一致していた。 2.HsfA2誘導に関わる上流因子の同定 前年度までにHsfA2のストレス応答に関わるシスエレメントが334〜79 bp上流のプロモーター領域に存在する事を明らかにした。本年度はトランジェントアッセイにより、この領域の詳細な解析を行った。その結果、HsfA2の応答に関わるシスエレメントは熱ショックエレメント(HSE)が関与していることが強く示唆された。HSEを介する遺伝子発現の制御にはクラスA HSFが関与しており、シロイヌナズナには15種類のクラスA HSFが存在する。そこで、これらのHSFをエフェクター、HsfA2プロモーターをレポーターとしてトランジェントアッセイを行ったところ、いくつかのHSFがHsfA2プロモーターを活性化することが明らかとなった。現在これらクラスA HSFのT-DNA挿入遺伝子破壊シロイヌナズナを用いて、強光ストレス下におけるHsfA2の発現をリアルタイムPCRにより解析を行っている。
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