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2009 年度 実績報告書

温度感受性TRPM2チャネルの生理学的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19209006
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設)

研究代表者

富永 真琴  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(共通施設), 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90260041)

キーワード神経科学 / 生理学
研究概要

TRPM2のインスリン放出への関与を調べるためにTRPM2欠損マウスの解析を行った。糖負荷での細胞内Ca^<2+>振動を観察したところ、野生型マウスのβ細胞に比してTRPM2欠損マウスのβ細胞では有意に細胞内Ca^<2+>振動が減弱していた。膵島からのインスリン分泌を観察したところ、高グルコース投与でのインスリン分泌が野生型マウス膵島と比較して、TRPM2欠損マウス膵島で有意に減弱していることが観察された。また、GLP-1、Exendin 4の投与によって野生型マウスの膵島からの低グルコース依存性のインスリン分泌は有意に増大したが、TRPM2欠損マウス膵島ではほとんど変化がなかった.経口グルコース負荷試験、腹腔内グルコース負荷試験を行い、野生型マウスと比較してTRPM2欠損マウスで血糖上昇が有意に大きく、低下もゆるやかであることがわかり、個体レベルでの血糖コントロールにTRPM2が重要な働きをしていることが強く示唆された。グルコース負荷試験での早期のインスリン分泌増加が野生型マウスに比べてTRPM2欠損マウスで有意に小さいことから、グルコース負荷によるインスリン分泌不全が耐糖能異常をもたらしているものと考えられた。以上のことから、TRPM2を欠いたβ細胞、膵島でみられる糖負荷応答の異常によってTRPM2欠損マウスの耐糖能異常がもたらされていると考えられ、TRPM2のグルコース代謝における重要性が個体レベルで確かめられた。
TRPM2はマクロファージにも発現していることを遺伝子レベル、蛋白質レベルで確認した。TRPM2欠損マクロファージではTRPM2の発現は観察されず、温度依存性の細胞内Ca^<2+>濃度上昇が起こらないことが分かった。TRPM2はマクロファージにおいて何らかの生理機能に関与しているものと推定された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Metabolic adaptation of mice in a cool environment2010

    • 著者名/発表者名
      Uchida K., Shiuchi T., Inada H., Minokoshi Y., Tominaga M
    • 雑誌名

      Pfluger Archiv.Eur.J.Physiol. 459

      ページ: 765-774

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A 3.5-nm structure of rat TRPV4 cation channel revealed by zernike phase-contrast cryo-EM2010

    • 著者名/発表者名
      Shigematsu H., Sokabe T., Danev R., Tominaga M, Nagayama K
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 285

      ページ: 4601-4612

    • 査読あり
  • [雑誌論文] DIP/WISH-Deficient Mice Reveal Dia- and N-WASP-interacting Protein(DIP/WISH)as a regulator of cytoskeletal dynamics in embryonic fibroblasts2009

    • 著者名/発表者名
      Fukumi-Tominaga T., Mori Y., Matsuura A., Kaneko K., Matsui M., Ogata M, Tominaga M
    • 雑誌名

      Genes to Cells 14

      ページ: 1197-1207

    • 査読あり
  • [学会発表] 寒冷暴露に備えた冷涼環境下での代謝調節2009

    • 著者名/発表者名
      内田邦敏、志内哲也、稲田仁、箕越靖彦、富永真琴
    • 学会等名
      第56回中部日本生理学会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県)
    • 年月日
      2009-12-04
  • [学会発表] Cool environment induced modulation of glucose homeostasis in mice2009

    • 著者名/発表者名
      内田邦敏, 稲田仁, 志内哲也, 箕越靖彦, 富永真琴
    • 学会等名
      第36回国際生理学会世界大会
    • 発表場所
      京都国際会議場(京都府)
    • 年月日
      2009-07-30
  • [備考]

    • URL

      http://www.nips.ac.jp/cs/

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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