研究課題/領域番号 |
19209012
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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研究分担者 |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 医員 (10380429)
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
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キーワード | 久山町コホート研究 / 動脈硬化 / 血管新生 / Ang-1 / 可溶型Tie-2連関 / 色素上皮細胞由来因子(PEDF) / 糖尿病 / PKCη / heme oxvgenase-1(HO-1) |
研究概要 |
平成19年度の主な研究実績を以下に列記する。 1、血管形態・機能の恒常性維持に関する分子生物学的研究:1)血管リモデリングの恒常性維持に関与する機序として、Ang-1/Tie-2連関による血管内皮(EC)-平滑筋(周皮)細胞相互における可溶型Tie-2の産生機序ならびにその病態学的意義について検討した。2)可溶型Tie-2産生はADAMならびにTIMP-2/3により調節され、内皮Ang-1シグナル伝達を制御することを明らかにした。3)骨髄由来内皮前駆細胞、樹状細胞の分化誘導因子について検討し、前者についてはVEGF-Cの役割を明らかにした。4)PEDFはAIF活性化を抑制してECの抗アポトーシス作用に関与していることを明らかにした。 2、病的血管リモデリングに関する病態解析:1)ヒトECのPKCη発現はVEGF-Aにて促進、TNFαにて抑制され、酸化ストレスの調節に関与していることが示唆された。2)久山コホート研究における剖検症例を対象にした冠動脈硬化の病理学的研究より、糖尿病ならびにメタボリック症候群は粥状動脈硬化の重要な危険因子であり、さらにHO-1の免疫組織化学的解析からHO-1は冠動脈硬化の防御のみならず促進両面の因子である可能性を明らかにした。3)マクロファージ発現HO-1は、病的血管新生に関与していることを明らかにした。4)免疫組織化学的にPKCη発現は、脳血管内皮細胞に恒常的に認められるが、脳梗塞の修復過程に関与する増生グリア細胞には認められなかった。5)リンパ管内皮細胞の成熟に関与するpodoplaninには腫瘍細胞のVEGF-C発現抑制作用があり、腫瘍リンパ管新生を介して担癌個体の予後因子の一つとなることを明らかにした。6)川崎病の動物モデルであるCAWS誘発マウス冠動脈炎の治療に抗VEGF-AならびにTNFα抗体が有効であることを証明した。 3、生体内遺伝子導入法の開発とその臨床応用:1)ヒト虚血下肢に対するSeVベクターを用いたFGF-2遺伝子治療の安全性と効果に関する研究を、また2)SIV-PEDFによるヒト網膜色素変性症の遺伝子治療法の開発を継続している。
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