研究課題/領域番号 |
19209014
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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研究分担者 |
磯本 一 長崎大学, 大学病院, 准教授 (90322304)
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ / VacA / 細菌毒素 / CagA / エフェクター / 毒素侵入 / エンドサイトーシス / 毒性発現 |
研究概要 |
山口大学医学部プロテオーム蛋白機能制御学教室との共同研究において、菌体より胃上皮細胞に注入されるエフェクター蛋白であるCagAは酵母の生育阻害を引き起こすことを見出しており、酵母遺伝子破壊株セットを用いてCagAの作用を抑制する遺伝子を検索した結果、CagAがエンドサイトーシス経路に関与する可能性が考えられた。酵母細胞内で発現させたCagAはエンドサイトーシスを阻害すること、さらには培養細胞において発現させたCagAも、リピッドラフト依存性エンドサイトーシスを阻害し、宿主細胞へのVacAの取り込みを阻害していた。そこで、ピロリ菌と培養細胞の共培養条件下において、CagAがVacAによる細胞障害を低減しているかをCagAによるVacAの細胞内取り込み阻害機構に焦点を当てて解析した。 その結果、細胞空胞化活性はAGS細胞のみを1とすると、cagAD vacAD株およびvacAD株で2倍、野生株で7倍、cagADは14倍であったことから、細胞内CagAはVacAによる細胞空胞化活性を有意に低減させていた。野生株とcagAD株のVacA分泌量はほぼ同程度であったが、細胞内に取り込まれたVacAの量はcagAD株のほうが野生株よりもより多かった。従って、ピロリ菌により細胞内に注入されたCagAは、菌自身が分泌するVacAが細胞内に取り込まれる量を制限し細胞障害性を低減することから、ピロリ菌の生育環境である胃上皮細胞を維持し持続感染に寄与していると考えられた。
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