自然免疫系の活性化にはToll様受容体に加え、細胞質に存在する受容体(cytosolic PRRs)が重要な役割を果たしていることが明らかとなりつつある。PRRsの中では核酸認識受容体である、RIG-I (retinoic acid-inducible gene-I)及びMDA5がRNAを認識する受容体として解析が進んでいるが、一方で、DNAを認識する仕組みについては不明なままであった。本研究では、我々が見いだしたDNA認識による免疫応答に関与すると思われる遺伝子、DNA-dependent activator of IRFs(DAI)について、DAI分子がいかにしてDNAを認識し免疫系を賦活化するか、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。これまでに、我々はZα、Zβドメインに加えて、新たなDNA結合ドメイン(D3)が必須であることを明らかにした。またDAIによるDNA刺激時のインターフェロン産生には、DAI分子のリン酸化が必要であることを明らかにした。また、DAIはDNA刺激時に多量体を形成することが免疫沈降の実験から示唆され、人工的にDAIの二量体を形成させることで、DNA刺激非依存的にインターフェロンを誘導することを見出している。平成21年度は、我々はDai遺伝子欠損マウスを作製し、DAI欠損細胞を用いてDNA刺激時の遺伝子誘導に与える影響、及び生体でのDAIの役割について解析を行った。その結果、DAIのDNA刺激における役割は細胞種特異的であることが判明し、DAI以外にもDNAを認識する受容体が存在することが想定された。また、マイクロアレイを用いた解析から、DAIがDNA刺激時に制御する遺伝子群を同定することができた。今後、これらの結果をふまえ、DAIのDNA刺激における役割について考察をすすめ、論文として報告するべく詳細をまとめていきたい。
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