クロイツフェルト・ヤコブ病や牛海綿状脳症(狂牛病)などは、総称してプリオン病と呼ばれ、正常プリオンタンパク質(PrP^C)が異常プリオンタンパク質(PrP^<SC>)に変化し、凝集することによって発症すると考えられている。現在、PrP^<SC>の検出には、エライザ法と電気泳動後にウエスタンブロットを行ない、抗体で検出する方法が主に用いられている。これらの方法は、プロテアーゼで消化されないPrP^<SC>を抗体で検出するものであるが、現在のところ、正常型と異常型を区別できる抗体がないことから、前者は擬陽性が出やすい、後者は検出までに長時間が必要、多検体の検査が困難などの欠点を有する。 そこで本研究は、プリオンタンパク質(PrP)と特異的に結合するアプタマーと呼ばれる核酸を見出し、誰もが調製でき、かつ安価な吸着膜を用い、それに吸着させた多検体中のPrP^<SC>の網羅的、かつ迅速な新検査法の開発を目的としている。この研究課題を達成させるために、あらゆるDNA配列を組み込んでいるDNA(DNAプール)を用いて、正常及び異常プリオンタンパク質に対して、強結合性かつ安定性を示すDNAまたはRNAアプタマーを調製し、さらに、当該研究代表者らが開発している核酸の化学発光反応を用いた簡便な検出法、または、発光性ビオチン化デキストランプローブ、発光性長鎖DNAプローブなどを適用することによって、アプタマーによるPrP^<SC>の超高感度検出法を開発する。
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