研究課題/領域番号 |
19209021
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
城戸 照彦 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (20167373)
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研究分担者 |
長沼 理恵 金沢大学, 医学系研究科, 助教 (50303285)
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
田崎 和江 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (80211358)
沢野 伸浩 星稜女子短期大学, 経営実務科, 准教授 (60269587)
佐藤 裕子 国立国際医療センター, 臨床病理研究部, 室長 (10137713)
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キーワード | 環境保健 / 国際保健 / ダイオキシン類 / ベトナム / 地理情報システム(GIS) |
研究概要 |
2007年7月にGISの専門家である沢野はベトナム人大学院生Nhuの案内の元、旧南ベトナムの枯葉剤撒布地区と非撤布地区の植生の比較を実施した。その結果、現在でも両地区間の植生にはGISの解析手法を用いると差が認められた。この成果は2007年9月に東京で開催されたDioxin国際会議で口頭発表した。 2007年8月には、撒布地区と非撒布地区住民の栄養状況を把握するため、ベトナム版食品頻度調査票を長沼らがベトナム人研究者に事前に数日間説明し、その上で現地住民(先行調査で母乳を提供した母親)に栄養調査をした。さらに、主な血清ビタミン類や蛋白、鉄等の栄養関連項目の検査と視力等の身体計測を実施した。その結果、必ずしも栄養素が撒布地区住民で低いことは無いことが判明した。また、いずれの血清生化学検査も両地区間に有意差は認められなかった。視力は、2005年の調査では撒布地区の母親が有意に低かったが、今回も低めではあったが、両地区間に有意差は認められなかった。母乳中のダイオキシン類と視力の関連性は栄養状態や生活状況等の交絡因子を考慮して検討したが、認められなかった。この結果は2008年3月に日本衛生学会で発表した。 同時期に採取した全血をホーチミン市に即日移送し、姉妹染色分体交換(sister chromatic exchange:SCE)の専門家である佐藤が前処置を実施した。その後検体を日本に搬送し解析を実施した。 また、環境の専門家である田崎らは、酸性雨の状況に注目し、両地区の飲料水の分析を実施した。結果は非撒布地区で溜め置きの雨水の一部に飲用に適さないもののあることを明らかにし、現地で指導した。これはダイオキシン調査に直結するものではないが、住民の基本的な健康状況を明らかにする上では大変貴重な調査結果であり、その成果は著書"Acid Rain Research Focus"として今年中に出版される。
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