研究課題/領域番号 |
19209021
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
城戸 照彦 金沢大学, 保健学系, 教授 (20167373)
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研究分担者 |
中川 秀昭 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00097437)
沢野 伸浩 星稜女子短期大学, 経営実務科, 准教授 (60269587)
佐藤 裕子 国立国際医療センター, 臨床病理研究部, 室長 (10137713)
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キーワード | 環境保健 / 国際保健 / ダイオキシン類 / ベトナム / 地理情報システム(GIS) |
研究概要 |
平成21年度の本研究の目的は、以下の4点であった。 (1) 前年度の成果である、人工衛星Landsatの画像を活用し、現地調査でGISを用いて照合した結果、米軍が撒布した航跡に沿って、現在も植生が再生不全の地点について、解析をさらに進める。 (2) 枯葉剤撒布地域でも特に高濃度汚染が疑われる地区と対照地区住民の健康状況を継続的に疫学調査する。 (3) 前年度に母乳を入手した母親から唾液と血液を採取し、ステロイドホルモンを測定する。また、姉妹染色分体交換(Sister Chromatid Exchange:SCE)を測定し、各指標とダイオキシン類との関連性を検討する。 (4) 両地区の60歳以上の男性各50人から採血し、ステロイドホルモンとPSA(前立腺特異抗原)を測定する。 上記に対する研究実績は、 (1) GISを用いた調査で得られた成果をDIOXIN国際会議で報告した。 (2) 前年に続き、Binh Dinh省Phu Catにある旧米軍基地跡地を汚染地区に設定し、一方、枯葉剤撒布を受けず社会経済的にも類似している旧北ベトナムHa Nam省Kim Bangを対照地区に設定して、両地区で調査した。 (3) 約120名の母親の唾液と血清中ステロイドホルモンの分析を終了し、両地区間の比較やダイオキシン類との関連性について検討した。その結果、Cortisol、Cortisoneとダイオキシン類との間には逆U字型の、Estradiolとの間にはU字型の関連が認められた。この成果については、日本ステロイドホルモン学会で報告した。SCEについては、現在、分析を継続中である。 (4) 約100名の男性の血清中ステロイドホルモンの分析を終え、現在、両地区間についての比較検討中である。また、PSAについては、異常者が撒布地区で多い傾向を示したが、有意差は認めず、今後例数を増やして再検討する必要があろう。
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