研究課題
DNase Iは遺伝的多型形質であり、アミノ酸置換Q222Rに基づく2個の対立遺伝子DNASE^*1および^*2によって決定される3つの主要表現型1,1-2および2型に分類される。本年度は、DNase I多型のDat abaseを確立するため、広範囲な世界集団における頻度分布調査を主として実施した。健常な島根県在住の日本人114名、モンゴル人220名、韓国人379名、トルコ人136名、アフリカオバンボス人176名、ガーナ人96名およびコーサ人78名などの健常人から採取した血液試料からDNAを分離し、DNase Iの主要表現型/遺伝子型の分布を精査した。なお、すべての参加者から文章で同意を得た。既報告および今回の精査から、民族間でその分布に明らかな相違が認められた。すなわち、アジア人集団ではDNASE1^*1の頻度はDNASE1^*2のそれに比べ若干高かったが、アフリカ人集団ではDNASE1^*1が極めて高頻度に分布していた。これとは対照的に、コーカシアン集団におけるDNase I多型の分布はDNASE1^*2に大きく偏っていた。以上から、民族間においてDNase I多型の分布に大きな偏りがあり、それぞれ民族特異的な分布を示すことが明らかとなった。我々は心筋梗塞とDNASE1^*2との関連を明らかにしているが、DNase I遺伝子を疾患発症に係る感受性遺伝子として評価するためにはDNase I多型に関するDatabaseの構築が必須である。一般にコーカシアン集団における心筋梗塞発症頻度はアジア人集団にくらべ高いことが予想され、今回のDNASE1^*2と心筋梗塞発症の関連を支持するものと考えられた。
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