研究概要 |
心筋梗塞(MI)と病態生理学的な関連性を示すデオキシリボ核酸分解酵素I (DNase I)は遺伝的多型形質であり、我々はQ222RとMIの関連について報告した。本研究ではSNap Shot法による同時遺伝子型判定法を用いDNase I遺伝子exon内のQ222R他12部位の非同義置換SNP部位の頻度分布を広範囲な民族について精査した。さらに各SNPに対応する組み換え変異型の酵素活性および熱耐性を解析した。今回、アジア人では11SNP部位で多型性は認められず、Q222Rのみ多型性を有することが明らかとなった。一方、アフリカ人では、Q222R以外に多型性を有するものが2部位(R-19S, G105R)、ドイツ人ではY95S、メキシコ人ではR-19Sに多型性がそれぞれ見出されたが、いずれもQ222Rとの連鎖は認められなかった。G105Rにおいて変異型に高い活性が認められることから、R以外の置換体の活性を調べたところ、G105KはG105Rと同等の活性上昇が認められたが、G105Aは全く活性上昇が認められず、アミノ酸105番残基における+電荷の導入が活性変異に寄与しているものと考えられた。また、R85Gに相当する置換の導入によって活性が消失し、さらにG以外の置換体を作成して活性をみたところ、R85AにはR85Gと同様活性の消失が認められたが、R85Kはわずかに活性が低下するのみであり、活性の消失はアミノ酸85番残基における+電荷の消失に寄与しているものと考えられた。その他、Q35H, V89M, C209Y, A224P, A224delでも活性低下が認められていた。変異型酵素、E13D, P132A, P197S, G240Dではwild typeの活性との間に顕著な差異は認められなかったが、E13D, P132A以外はいずれも熱に対して不安定な酵素が産生されていた。
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