研究課題
[目的]DNase I遺伝子内には活性変動を惹起する可能性のある多数のSNPが存在するが、その多くについては集団遺伝学的調査がなされておらず、塩基置換が酵素活性に及ぼす影響も明らかにされていない。そこで、DNase I遺伝子における自己免疫疾患感受性の病態遺伝生化学的基盤を確立するため、以下の項目について研究を実施した。1.DNase I遺伝子内SNPの遺伝子型判定法の開発2.多集団における全てのSNPの遺伝子型判定(集団調査)3.SNPに相当するアミノ酸置換が酵素活性に及ぼす影響の精査4.DNase I family遺伝子における同様な解析[方法]すべての非同義置換型SNPで構成されるハプロタイプのうち、最も出現頻度の高いタイプに由来するDNase I mRNAの翻訳領域を導入した哺乳類細胞発現ベクターを野生型として作製。site-directed mutagenesisによって各SNPのminor alleleに相当するアミノ酸置換型DNase I発現ベクターを構築し、これらベクターをCOS-7細胞に導入後、発現するDNase Iの活性をsingle radial enzyme diffusion法によって測定した。DNase I遺伝子内非同義置換型SNPなど全てのSNP遺伝子型判定法を確立した。[結果]異なる15集団におけるSNPの頻度分布解析の結果、Q222Rはすべての集団で多型性を示し、R-21S、G105RおよびY95Sは一部の集団で多型性を示した。Q222Rの遺伝子頻度分布には、人種依存性が認められた。酵素活性の低下を惹起するSNPで多型性が認められるものは少数であったことから、DNase I family遺伝子は、ヒト集団の進化の過程で酵素活性が維持されるように保存されていることが明らかとなった。多型性がみられ酵素活性が低下するSNPはDNase IのQ222RとDNase1L3のC206Rであった。従って、これらの塩基置換は自己免疫疾患罹患の遺伝因子の一つとなりうることが示唆された。
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