研究課題/領域番号 |
19209027
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究分担者 |
竹田 潔 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20309446)
半田 宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (80107432)
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キーワード | 腸管再生 / Wnt / Notch / Atoh1 / 炎症性腸疾患 |
研究概要 |
本研究は慢性炎症での上皮細胞分化に関わる分子異常機構解析とその分子異常を標的とした粘膜再生誘導を目的とし、粘膜再生を主眼とした難治性慢性腸炎の新規治療法開発への基盤とするものである。本研究では当初の研究計画に示した項目につき、下記に示すごとく大きな研究成果が得られた。1)炎症性腸疾患における粘膜組織のNotchシグナル群、Wntシグナル群、分化転写因子群の機能解析においては、慢性炎症粘膜ではNotchシグナルが亢進しており、Hes1の発現も亢進していることを秋からとした。以上よりNotchシグナルが炎症時の細胞増殖を促進し、粘膜構築に必要な刺激である事が判明した。2)Notch,Wntシグナルの腸管細胞における標的遺伝子の解明においては、腸管上皮由来細胞株にテトラサイクリン誘導Notch発現系を確立し、Notch刺激による遺伝子発現変化を網羅的に解析したところ、複数の候補遺伝子を抽出することに成功した。前年度明らかにしたHes family遺伝子群の中でもHes1が未分化機構と密接に関連することを明らかとした。3)炎症状態における上皮細胞異常分子機構を標的とした粘膜再生誘導解析においては、杯細胞分化に必須である転写因子であるHath1がNotchシグナルの下流であるHes1遺伝子により直接転写レベルにて抑制されることを明らかとした。またHes1がHath1のプロモーター領域に直接結合することおよびその結合部位の同定にも成功した。 以上より腸管の慢性炎症状態における細胞内シグナル異常さらにはシグナル異常による細胞増殖、分化形質発現制御機構を明らかとし、その分子機構を標的とした腸管細胞分化誘導を確立するなど多大な成果を挙げた。
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