研究課題
基盤研究(A)
誘導型多能性幹(iPS)細胞における肝細胞への分化誘導には内胚葉細胞、肝内胚葉細胞および肝前駆細胞の誘導、さらに肝細胞の成熟化という多段階の過程が必要である。本研究では、iPS細胞のembryoid bodyにActivin A、bFGF、その後、BMP-2+FGF-4を添加して誘導した肝内胚葉細胞にHGF(100ng/mL)を添加するとアルブミンとαフェトプロテイン(AFP)を高発現する細胞が誘導されることを見出しHGFが肝内胚葉細胞からの肝細胞分化に必須の因子であることを明らかにした。一方、肝内胚葉細胞ではDlk1が発現されているが、EpCAM発現が見られないことから、肝内胚葉細胞には肝芽細胞が存在する可能性が考えられた。この肝芽細胞を単離してHGFの肝細胞分化メカニズムの解明を進めているが、本研究の成果はHGFを用いた高高率な肝細胞分化誘導による難治性肝疾患に対する細胞移植医療への分子基盤となることが期待される。一方、HGFは肝細胞のみならず多くの組織の重要な再生・修復因子であり、消化管粘膜傷害直後に誘導されるepithelial restitutionに必須の因子とされている。そこで、ヒト胃粘膜上皮細胞にHGFを添加したところ、oclucinのチロシンリン酸化を介してZO-1がocludinから解離し、細胞遊走能が促進された。また、肺高血圧ラットにHGFを投与すると肺動脈の内皮細胞傷害が抑制され、炎症性細胞浸潤、中膜の肥厚が改善し、肺動脈圧の低下および生存率の改善が認められた。以上の結果からHGFは難治性疾患の新規治療薬となる可能性も考えられた。
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