研究課題
基盤研究(A)
メタボリックシンドロームと心血管疾患の発症・進展メカニズムを明らかにするために、細胞のストレス受容と、それに対して、遺伝子の発現を制御する分子機構を鍵として、心血管系・代謝系・免疫系をストレス応答の一つの連続体(コンティニウムcontinuum)として解析することを目的とする。そのため、心血管系と代謝系の両者で、Toll-like受容体(TLR)などによる代謝ストレスの受容機構とその情報伝達機構を解析するとともに、Kruppel型転写因子ファミリーを中心としたストレス応答と組織リモデリングの遺伝子発現制御プログラムに関して検討を進めた。まず遊離脂質が心血管系と代謝系の両者でストレス要因となること、その情報伝達に小胞体ストレス、TLR、および酸化ストレスが重要であることを見いだした。また、線維芽細胞組織特異的KLF5ノックアウトマウスを作成することにより、KLF5が心臓間質の機能制御を担い、線維芽細胞と心筋細胞の相互作用が心臓へのストレス応答に必須であることを示した。この時、線維芽細胞でIGF-1の発現を制御することが重要である。代謝系に関しても、KLF5が膵β細胞の機能障害に重要であることを明らかとした。さらに、KLF5が摂食を調整している可能性を見いだした。
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