難治性呼吸器疾患発症分子機構の解明と新治療標的の探索

2008 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19209031
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
• キーワード: 脂質性メディエーター / 抗菌ペプチド / 生理活性ペプチド / ノックアウトマウス / 転写因子

研究概要

慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ARDS、特発性間質性肺炎、難治性気管支喘息などは、炎症機序を主体とする病態であり、その難治性・致死性や高い発症頻度から、社会的にも極めて重大な疾患群である。これらの炎症性肺疾患の病態機序・治療標的は未だに不明であり、新治療法の開発が急務とされている。本年度研究では、近年、炎症・生体防御関連因子として注目されている 1)脂質性メディエ一夕一、2)新規転写コアクチべーターTAZ、および 3)抗菌ペプチドに着目し、発生工学的手法を応用して難治性肺疾患における意義および治療標的の可能性について研究を遂行した。
1)脂質性メディエー夕ー: 脂質性メディエー夕ーは、多彩な生理活性作用を示し、肺疾患発症に寄与している可能性が推察される。本年度研究では、発生工学的手法を応用し、脂質性メディエー夕ーの肺疾患発症機序における意義を明らかにし、治療標的の同定を進めた。2)転写コアクチベーターTAZ: 近年、肺の発生・機能への関与が示唆されている新規転写コアクチベーターTAZが注目されている。本年度研究では、発生工学的手法を応用し、TAZの生理学的意義を検討した。2)抗菌ペプチド: 炎症性肺疾患においては、感染症が重要な病態悪化因子となっている。本年度研究では、抗菌ペプチドdefensinの感染防御機構における意義、および炎症性呼吸器疾患発症分子機構への関与について検討を加えた。

研究成果

• [雑誌論文] Effect of dexamethasone on voltage-gated Na+ channel in cultured human bron chial smooth muscle cells. (2008)
  • 著者名/発表者名: Nakajima T, Jo T, Meguro K, Ounuma H, Ma J, Kubota N, Imuta H, Takano H, Iida H, Nagase T , Nagata T.
  • 雑誌名: Life Sci 825 ページ: 1210-1215
  • 査読あり
• [雑誌論文] Sequential and quantitative analysis of a murine model of elastase-induced emp hysema. (2008)
  • 著者名/発表者名: Kawakami M, Matsuo Y, Yoshiura K, Nagase T, Yamashita N.
  • 雑誌名: Biol Pharm Bull 31 ページ: 1434-1438
  • 査読あり
• [雑誌論文] Multiple renal cysts with concentration defects and pulmonary emphysema in mice lacking TAZ. (2008)
  • 著者名/発表者名: Makita R, Uchijima Y, Nishiyama K, Amano T, Chen Q, Takeuchi T, Mitani A, Nagase T, Yatomi Y, Aburatani H, Nakagawa O, Cobo-Stark P, Igarashi P, Murakami M, Tominaga J, Sato T, Asano T, Kurihara Y, Kurihara H.
  • 雑誌名: Am J Physiol 294 ページ: F542-53
  • 査読あり