研究概要 |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ARDS、特発性間質性肺炎、難治性気管支喘息などは、炎症機序を主体とする病態であり、その難治性・致死性や高い発症頻度から、社会的にも極めて重大な疾患群である。これらの炎症性肺疾患の病態機序・治療標的は未だに不明であり、新治療法の開発が急務とされている。本年度研究では、近年、炎症・生体防御関連因子として注目されている(1)脂質性メディエーター、発生への関与が着目されている(2)転写コアクチベーターTAZに着目し、(3)siRNAなどの新技術を応用・駆使することにより、難治性肺疾患における意義および治療標的の可能性について研究を遂行した。 1)脂質性メディエーター:脂質性メディエーターは、多彩な生理活性作用を示し、肺疾患発症に寄与している可能性が推察される。本年度研究では、発生工学的手法を応用し、脂質性メディエーターの肺疾患発症機序における意義を明らかにし、治療標的の同定を進めた。2)転写コアクチベーターTAZ:近年、肺の発生・機能への関与が示唆されている新規転写コアクチベーターTAZが注目されている。本年度研究では、発生工学的手法を応用し、TAZの生理学的意義を検討した。(3)siRNA:マウス肺胞上皮細胞及び線維芽細胞を用いた系で、標的分子の発現抑制システムの確立を目指した。さらに、線維化にかかわるシグナル分子及びそのパスウェイとしてTGF-β,その受容体及びSMADファミリーを標的として、既にベクターの構築を開始している。
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