研究課題/領域番号 |
19209032
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30136428)
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研究分担者 |
藤原 一男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70280873)
中島 一郎 東北大学, 病院, 助教 (50333810)
三須 建郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396491)
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キーワード | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 視神経脊髄炎 / 脳神経疾患 |
研究概要 |
視神経脊髄型多発性硬化症(optic-spinal multiple sclerosis, OSMS)は、視神経炎と横断性脊髄炎のみを繰り返す重篤な免疫性神経難病であり、欧米の視神経脊髄炎(Neuromyelitis Optica, NMO)と共通点が多く同一疾患と考えられる。本研究は、OSMSとNMOに共通の疾患特異的抗体NMO-IgGとその後の標的抗原アクアポリン4(AQP4)の発見に伴い、本疾患の新たな疾患概念を確立し、また適切な治療法を確立することを研究目的とし種々の解析を行った。1.AQP4をトランスフェクしたHEK-293細胞を用いてAQp4抗体の有無を測定した。NMO及びそのHigh Risk Syndromeでは約90%の症例でAQP4抗体陽性だったが、MSその他の疾患は全例陰性だった。2.抗体価は再発の多い時期に高く、免疫抑制療法により寛解状態が継続している時期には低い傾向がみられた。3.AQP4抗体の血清抗体価が500倍以上の場合に限って髄液抗体価はその1/500程度の値で検出された。したがってAQP4抗体は髄空内では産生されていないと推測された。4.AQP4抗体価が高い症例で広範な脳病変がみられた。5.NMOでは、AQP4とGEAPの高度の欠失に比べてMBPの染色性は比較的保持されていたことから、NMOはアストロサイトの高度の傷害が特徴であり、脱髄は二次性の病変であることが推察された。したがってNMOは脱髄が一次性病変であるMSと根本的に異なる疾患概念であると考えられた。6.NMOとMSのMRI脊髄病変のコンピューター解析によりNMO病変は中心灰白質に主に分布していたが、MS病変は白質にみられた。7.QOL調査としてSF-36を実施し、NMOではMSよりさらにQOLの低下が著しいことが明らかになった。
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