研究課題
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体のポリグルタミン鎖延長を原因とするポリグルタミン病である。我々は、これまで我々は、分子シャペロンの高発現や、薬剤による分子シャペロンの機能調節により、SBMAモデルマウスの病態が抑止されることを明らかにしてきた。今年度は、異常蛋白質の分解にあたって分子シャペロンとユビキチン・プロテアソーム系を連携する役割を果たすと考えられているCHIP (C terminus of Hsc70 (heat shock cognate protein 70)-interacting protein)に注目し、SBMAモデルマウスにおける神経変性の抑止効果を解析した。培養細胞にCHIPを過剰発現させると、異常伸長ポリグルタミン鎖を有する変異アンドロゲン受容体(AR)は野生型ARよりも効率的に分解を受けることが明らかとなった。CHIP高発現マウスとSBMAトランスジェニックマウスを交配し、ダブルトランスジェニックマウスを作成したところ、脊髄および骨格筋において変異ARの凝集体およびモノマーの分解が亢進し、抗ポリグルタミン免疫組織化学における核のびまん性染色が抑制された。マウスの神経症状および寿命はCHIPの高発現により著しく改善し、その効果はCHIPをヘテロで高発現した場合よりもホモで発現させたマウスにおいてより強く認められた。以上より、CHIPはポリグルタミン鎖の伸長した変異ARを効率的に分解することが示された。マウスにおいてCHIPを高発現させると熱ショック蛋白質の発現量や変異ARのmRNAレベルを変えることなく、変異ARの凝集体およびモノマーの量を減少させ、マウスにおける神経変性を抑止し、運動機能の増悪や寿命短縮といった表現型をCHIPの発現量依存的に著しく改善することが示された。CHIPは運動ニューロン疾患の治療ターゲットとして極めて重要であると考えられる。(799字)
すべて 2008 2007
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