研究分担者 |
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80263911)
片山 泰一 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80333459)
犬伏 俊郎 滋賀医科大学, MR医学総合研究センター, 教授 (20213142)
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
岩田 泰秀 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10285025)
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研究概要 |
本年度は,『統合失調症の神経幹細胞機能異常仮説』に基づく新たな治療法としての神経幹細胞の脳内移植法の確立を目指し,以下の検討を行った。 (1)ラットの統合失調症モデル(X線照射モデル)と神経幹細胞脳内移植実験: 成熟雄性SD系ラットの頭部にX線照射(5Gyx6回,計30Gy)し,最終照射から1カ月後に,神経幹細胞を脳内に移植した。移植片にはGreen fluorescence protein(GFP)遺伝子を導入したCAG-GFPラットの胎仔脳より得た神経幹細胞を用いた。麻酔下にX線照射ラットの両側側脳室内に5×10^5の神経幹細胞を定位的に注入し,移植前,移植3ケ月後,および,移植6ケ月後においてメタンフェタミン誘発行動異常を指標とする行動薬理学的評価を行い,X線照射と神経幹細胞移植の影響を比較した。その結果,X線照射ラットはメタンフェタミンに対する反応性が対照である偽照射ラットに比べ充進するという我々の先の知見が確認された。しかし,神経幹細胞を移植すると,偽照射ラットにおいてはメタンフェタミンへの反応性が増強し,照射ラットにおいては明らかな改善効果は認められなかった。これらの動物の脳における移植片の挙動を検索したところ,GFP陽性で示される神経幹細胞由来の細胞のほとんどがアストロサイトに分化していた。現在,移植後の分化の方向性を制御する方法を検討中である。 (2)サルのX線照射モデルの作出と,その認知機能学的評価法の確立:成熟カニクイザルの頭部にO Gy(偽照射),15 Gy,あるいは30 GyのX線を照射した。現在,驚愕反応の先行刺激抑制現象(PPI)を指標に,経時的観察を継続中である。
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