研究課題
我々は、消化器がんの将来の治療戦略として、個々患者の利益、医療資源の確保、医療経済の観点から個別化(テイラーメイド)医療の確立が必須であると考え、多角的に研究を続けている。以前の基盤研究(A)から得られた基礎研究成果を臨床応用するため、本研究では、臨床試験と分子生物学的情報解析のスパイラル的発展を主軸とし、一定のプロトコールにより集積された大規模消化器がん症例を対象に、がん組織の遺伝子・タンパク発現プロファイルによるがんの転移・再発、治療応答性など、個別分子予測診断の可能性を一定の成果として定着させ、数年のうちに臨床応用化を実現することを目的とした。具体的には、トランスレーショナルリサーチとして十分なevidenceを得るため、一定のプロトコールにより集積された大規模な消化器癌症例登録システムを構築・維持すると共に、全ヒト遺伝子型DNAチップを用いた遺伝子発現プロファイル解析によって、根治切除後の大腸癌の異時性再発、肝臓癌の早期再発、胃癌の腹膜播種再発を予測する診断法を開発した。また同時にNBS法によるプロテオミクスにより体系的なタンパク発現データを取得し、遺伝子発現情報と合わせてネットワーク解析から同定された転移・再発に関わる大腸癌、肝臓癌の分子を同定した。さらに各分子を詳細に検討し、発育・進展に関わるバイオマーカーとしての有用性を検証した。本研究により、がんの分子メカニズムの総合的理解が飛躍的に進み、画一的な治療を脱却し患者に過不足の少ない最適な医療を提供することで、国民の健康利益と医療資源の確保に寄与するとともに、国民医療費の無秩序な増大を抑えることで、医療経済面でも大きな貢献が期待される。
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