研究課題/領域番号 |
19209043
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山田 和彦 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (40241103)
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研究分担者 |
大段 秀樹 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (10363061)
佐藤 正宏 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (30287099)
興津 輝 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (10378672)
上村 亮三 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 准教授 (30253884)
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キーワード | 異種移植 / GalKOブタ / 腎移植 / 膵島移植 / hCD47 / 遺伝子導入 / 免疫寛容 |
研究概要 |
本研究課題は、糖尿病、末期腎不全、更に糖尿病性賢不全に対しドナーの制限の無い移植医療の実現のため、研究代表者が米国においてブタ・ヒヒ間での世界最長の機能性異種移植腎生着成績を示した"信頼性の確立したホモGal抗原ノックアウト(GalKO)細胞核を用いた日本での完全Gal-KOブタ"の日本での作製(目的1)、特にT細胞免疫、マクロファージ活性を抑制する戦略の確立(目的2)、translational researchとして異種移植実験の実施(目的3)を目的とする。以下に初年(H19)度の実験結果及び経過を示す。 目的1:MGH-GalKOブタの皮膚・肺・腎・肝臓からfibroblastを分離培養し、特に培養状態が優れている皮膚、肺由来fibroblastを凍結し、国内でのGalKOブタ作製のための核移植を開始した。 目的2:(1)GalKOブタの内皮細胞を分離培養し、hCD47/hDAFコンストラクトを作製し遺伝子導入を行い、導入細胞のhCD47発現を確認した。(2)hCD47遺伝子導入ミニブタ内皮細胞をtargetとした検討により、ヒトマクロファージのMGHミニブタ細胞に対する貪食能軽減効果を認めたが、より効果的な抑制のためには更に効率的なhCD47遺伝子導入の必要性が示唆された。(3)抗ヒトCD84/CD80抗体、特にCD84抗体が、ブタ・ヒトT細胞のindirect pathwayによる免疫反応を効果的に抑制することを確認した。 目的3:異種移植の成功には、GalKOによる異種移植直後のGal抗原に対する液性拒絶反応の排除、T細胞拒絶の軽減による細胞性拒絶抑制戦略のみならず、異種移植臓器・細胞の虚血再灌流障害、innate responseおよびnon-Gal抗体による内皮細胞障害からの防御が必要である。この観点から、ブタ臓器虚血モデルを用い、(1)内皮細胞障害によりIL-1β、IL-6等のサイトカインと共にHMGB1が上昇すること、(2)HMGB1中和抗体投与により内皮細胞及び臓器障害が軽減されることを確認し、本戦略の異種移植への応用が期待できる。臨床異種膵島移植をシミュレートし、鹿児島大学山田研究室でのブタ膵臓摘出、京都大学及び藤田保健衛星大学への空輸後の膵島分離、更に翌日空輸搬入した膵島を用いて代表者山田独自の戦略である膵島腎(IK:Islet-Kidney)を作製した。各ミニブタ膵臓(n=3)から200,000IE以上の膵島が得られ、異種移植の前段階としてその機能をブタ同種移植間で検討した。高血糖IDDMブタレシピエントに移植されたIKは移植直後から血糖を正常値に戻し、長期間(6ケ月以上)正常血糖を維持した。 これらの成果をもとに、H20年度は、(1)GalKOブタの誕生、(2)CD47/hDAFの骨髄および膵島への遺伝子導入とTgブタの作製、そして(3)ブタ・サル間異種膵島を開始する。
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