研究課題
本課題は、目的1)既に米国で確立され、信頼性のあるGal-KOブタ体細胞核(背景および目的の項参照)を用いた日本国内におけるGal-KOブタの早期作製;目的2)Gal-KO核を用いてより移植に適した独自のGal-KOトランスジェニック(Tg)ブタ(ヒトCD47/Gal-KO)の作製、およびGal+核へのヒトCD47を導入したブタの作製;目的3)Gal-KO,ヒトCD47/Gal-KO,ヒトCD47/Gal+ブタをドナーとしたブタ・サル異種腎・膵ラ氏島移植実験、から構成される。平成21年度は、サル・ブタ間異種移植実験において、特に国内初となる2つの成果が得られた。(1) Harvard大学TBRCから搬入したGalノックアウトブタ細胞核を用い、国内で核移植を行いGalKOブタの作出に成功し(論文作成中)、その誕生したGalKOブタをドナーとし、国内で初めてGalKOブタ腎のサルへの移植を行い、15日間全く拒絶のなく経過するに至った。(2) 膵島移植において、成豚膵島Galの発現が乏しいことに着目し、GalKOではない鹿児島クラウンミニブタ膵島のサルへの移植を行い、HGFを中心とした当研究室で確立した新規免疫抑制療法を用いて、国内初となる大動物異種間膵島移植により2カ月間正常血糖が維持されることを確認した(論文作成中。南日本新聞、朝日新聞掲載)。更に、異種移植においてGal抗原とともにNonGal抗原への検討も重要であり、GalKOブタを用い、Accommodationの成立にCD59の関与が示唆される成果を得、国際移植学会学術誌に報告した(Transplantation 2009)。現在までの達成度:Harvard大学TBRCから搬入したGalノックアウトブタ細胞を用いた国内での核移植によるGalKOブタの作出は、当初予定の18カ月を9カ月ほど遅延したものの、H21年度にその作出に至り、また、国内初のGalKOブタ腎のサルへの移植で15日間全く拒絶がない状況に至っている。更に、ブタ・サル間異種膵島移植においても、2ヶ月間正常血糖を維持するに至っている。これらIn vivo異種移植モデルは国内初の結果であり、in vitro細胞試験の確立と合わせ達成度は70%以上と考えている。最終年の研究の推進方策として、(1)核移植GalKOブタの作出を増加させ、in vivo異種移植件数を増やし、異種間腎・膵島移植成績の更なる向上を目指し;(2)CD47Tg細胞を用いた核移植からのGalKOTgブタおよびGalKO/HDAF Tgブタの作出を急ぎ、異種移植まで進める。また、大動物実験は、実験経過の長さから、研究成果を得るまでに期間を要する。本課題においても第3年度になって、GalKOブタの作成および日本発のGalKOブタ・サル間異種移植に至った。最終年度はその成果の論文報告を推進する。
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