研究課題
リンパ管、リンパ節、リンパ球よりなるリンパ系の生理機能を、循環器学、免疫学、腫瘍学の3つの視点から、低酸素環境においてリンパ液中のアルブミン濃縮機能を仲介して、内部環境の恒常性維持に努める脈管システムと生体防御システムという統一概念の下、リンパ行性微小癌細胞転移様式解明のために以下の研究を行った。当教室で確立した乳癌患者のセンチネルリンパ節輸入リンパ管由来のリンパ管内皮細胞と、市販されている毛細リンパ管内皮細胞の生物学的特徴を比較し、培養系に移行したあとも生体内での特徴を有しているかについてマイクロアレイ解析法を用いて遺伝子発現の違いにつき検討した。また、乳癌細胞株の中でも高転移株として知られているMDA-MB-231の培養上清をセンチネルリンパ節近傍リンパ管内皮細胞に添加し、リンパ管内皮細胞表面に出現する接着因子の発現変化について検討したところ、MDA-MB-231の培養上清刺激によりICAM-1の発現が亢進し、そのICAM-1が癌細胞とリンパ管内皮細胞の接着に関与していることが判明した。また、生体顕微鏡システムを用いて、心臓様拍動に類似した能動的リンパ輸送に及ぼすリンパ液の酸素分圧、ならびに一酸化窒素、ペルオキシナイトレイト等酸素ラジカル、プロスタグランジンカスケード酸性物質、ATP依存性K^+チャネルに関連する物質、内皮細胞由来過分極誘起物質等のリンパ節内の微小リンパ循環機構におよぼす作用をin vitro実験で体系的に解析した。その結果、一酸化窒素、ATP、PGF_<2α>・PGE_2等のプロスタグランジンが特異的にリンパ節内リンパ循環を制御していることが判明した。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (16件) 図書 (3件) 産業財産権 (1件)
Am. J. Pathol. 172(1)
ページ: 179-193
日本生理学会誌 69(3)
ページ: 102-107
Am. J. Physiol. 293(3)
ページ: H1498-H1507
Biophys. J. 92(11)
ページ: 3843-3861
Lymphat. Res. Biol. 5(2)
ページ: 115-126
Cancer letters 246
ページ: 167-172
Lymphat. Res. Biol. (in press)
Microcirculation (in press)
実験医学 (in press)