研究課題/領域番号 |
19209044
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大橋 俊夫 信州大学, 医学部, 教授 (80020832)
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研究分担者 |
河合 佳子 信州大学, 医学部, 講師 (10362112)
永井 崇 信州大学, 医学部, 助教 (50514353)
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キーワード | 癌転移 / センチネルリンパ節 / 分子プロファイリング / 癌抗原 / 生体顕微鏡観察 / ATP / 一酸化窒素 / プロスタグランジン |
研究概要 |
リンパ管、リンパ節、リンパ球よりなるリンパ系の生理機能を、循環器学、免疫学、腫瘍学の3つの視点から、低酸素環境においてリンパ液中のアルブミン濃縮機能を仲介して、内部環境の恒常性維持に努める脈管システムと生体防御システムという統一概念の下、リンパ行性微小癌細胞転移様式解明のために以下の実験を行った。 現在市販されているリンパ管内皮細胞は毛細リンパ管由来のものだけであるが、我々は、乳癌のセンチネルリンパ節生検症例からリンパ節近傍の輸入リンパ管を採取し、内腔からリンパ管内皮細胞を培養系に移し、集合リンパ管由来のリンパ管内皮細胞を用い、表面に特異的に発現する分子プロファイリングの解析を行い、センチネルリンパ節に特異的に発現している因子の解明を進めてきた。また、乳癌細胞の培養上清とリンパ管内皮細胞の相互作用について検討し、癌細胞の微小転移が成立する微小環境についての解析を行った。その結果、高転移乳癌細胞株であるMDA-MB-231培養上清で刺激することにより、リンパ管内皮細胞表面のICAM-1発現が亢進し、そのICAM-1を用いて癌細胞の接着が増強することが確認できた。また、ケモカインによってもICAM-1発現の亢進を惹起できることが確認できた。 本結果を元に、センチネルリンパ節における微小癌転移を高精度に発見するための分子イメージング方法や治療方法の開発、リンパ管内皮細胞と癌細胞を特異的に固着させる高分子ミセルによるドラッグデリバリーシステムを利用した臨床応用についての検討を進めていきたい。
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