研究課題/領域番号 |
19209045
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高山 忠利 日本大学, 医学部, 教授 (30280944)
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研究分担者 |
三木 健司 日本大学, 医学部, 兼任講師 (20386014)
中山 壽之 日本大学, 医学部, 講師 (00287632)
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キーワード | 肝再生 / 骨髄幹細胞 / 分化誘導 / 骨髄キメラ / 特異的免疫寛容 |
研究概要 |
肝幹細胞を用いて糖尿病を治療するために、大きく2つの実験系を構築した。一つ目は、膵ラ氏島のβ細胞へ胎生期に高発現するPDX-1遺伝子を幹細胞へ導入するためのベクターの作成である。アデノウイルスを用いたこのベクターの作成は終了しFITC(蛍光)標識したこのベクターをマウス肝細胞へ系門脈内投与を行ったところ、門脈周囲の肝細胞にFITCの蛍光を確認可能となった。しかし、一過性の発現であり持続かつ、高頻度の発現がなくては実用に耐えうる方法とはならないため更なる工夫が必要と考えられた。 次の試みとして、他者からの幹細胞もしくは、膵β細胞の移植による糖尿病治療の可能性を検討した。自己幹細胞を移植する移植片の生着の維持のためには、個体の全般的な免疫機能を保ちつつ該当移植抗原に対する免疫応答のみを抑制した状態(ドナー特異的免疫寛容)を近縁者脾細胞を利用することで効率よく維持することに成功した。この結果は骨髄移植で置き換えた造血幹細胞はMHCの一部合致した脾細胞で脾細胞由来の造血幹細胞に置き換えられ、MHCの一部合致した移植片(皮膚)も拒絶されることなく正着し続けるモデルを開発した。 (Hayashi et al. Transplantation. 2007 ; 84 : 1168-73)で報告した。この現症に関わる特定の細胞集団を特定することで、より高効率で免疫抑制剤を使用しない細胞移植の成立を検討した。ドナーの脾細胞中のT細胞によりレシピエントの造血系が破壊され、ドナー脾細胞中の造血幹細胞の生着と増殖がおきる。その際、レシピエントの造血系を攻撃する細胞集団と、ドナー脾細胞の造血幹細胞の増殖が同時に進行した。CD4+かつCD25+の制御性T細胞を除去した脾細胞静注では全脾細胞を静注した場合と比較し、造血系細胞の置換の速さが促進され、より早く効率の良いキメラ置換の条件を確認した。
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