研究課題/領域番号 |
19209047
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
川口 奈奈子 東京女子医科大学, 国際統合医科学インスティテュート, 講師 (10200700)
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研究分担者 |
斎藤 聡 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60246551)
松村 剛毅 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20297469)
佐藤 志樹 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40235403)
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キーワード | 成体心臓由来幹細胞 / 組織幹細胞 / 心筋細胞 / ナノーテクノロジー / TGF-βスーパーファミリー / 心筋梗塞 / c-kit / スキャッフォールド |
研究概要 |
本研究の目的は、成体心臓から採取した幹細胞を使って、三次元心筋組織を作製し、臨床応用をめざすことにある。我々は、成体ラットの心臓から、c-kit陽性細胞を採取して、拍動する心筋細胞を樹立することができたが、この細胞を心筋梗塞ラットに直接移植しても、心臓内にとどまる確証を得ることができなかった。そこで、三次元心筋組織を作製して、これを心臓に移植することを試みようとした。そのために、まず、コラーゲンスキャッフォールドを用いた三次元培養法の確立から手がけた。Dr.Hossein Hosseinkhaniの協力を得て、三次元培養に用いる媒体を開発した。コラーゲンスキャッフォールドをベースとして、強度を増すため、PGA(poly glycolic acid)を添加した。このことによる細胞の接着性、増殖能に対する影響を検討したところ、ある割合で混ぜると有意に接着性、増殖能双方上昇することが明らかになった。また、どのような幹細胞を用いたら心筋細胞に分化しやすいのかについても、別途研究を行った。そのために、骨格筋/心筋細胞に分化する幹細胞を用いて、未分化細胞と分化細胞の発現レベルを比較するマイクロアレイ解析を行ったところ、TGF-βスーパーファミリーがこの分化に影響することがわかり、TGF-βスーパーファミリーのサイトカインを用いることで、拍動する細胞をかなりたくさん増やすことができるようになった。コラーゲンスキャッフォールドには、サイトカインを浸潤できるので、有効に拍動する心筋細胞を得ることができる可能性は極めて高く、成体の組織幹細胞を使って、拍動する三次元心筋組織を世界で初めて完成させることができる見込みができた。このことは、幹細胞を用いた心筋梗塞治療法を大きく前進させることができることを意味する。
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