研究課題/領域番号 |
19209050
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
土肥 修司 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40155627)
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研究分担者 |
田辺 久美子 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30402209)
柳舘 富美 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (60313889)
杉山 陽子 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70444255)
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キーワード | 麻酔 / 局所麻酔薬 / 脊髄疼痛受容機構 / ERK / イオントランスポーター / グリア細胞 / ATP感受性Kチャネル / Na^+-K^+-2CL^- |
研究概要 |
脊髄鎮痛制御機構におけるNa^+-K^+-2Cl^-イオントランスポターの阻害薬であるフロセミドの影響を、脊髄くも膜下腔カテーテルラットモデルを用いて検討し、正常ラットでは興奮性に作用するが、切開モデルでは抗侵害受容性に作用することを見出した。またこの効果は、正常ラットでは認められなかったが、切開モデルラットのDRGニューロンのERKのリン酸化シグナルを介することを示唆するデータも得た。さらに、PC12細胞を用いて、ATP感受性K^+チャネルの開口薬は、ERKのムスカリン感受性Ach受容体活性を抑止することによって脊髄疼痛受容に関与することを示唆する、という結果を得た。この結果は、臨床知見の裏付けはもとより、このチャネルの新しい機能を示唆する知見である。 グリア細胞(アストロサイト)は成長因子を遊離することによってニューロン活動を賦活し、GDNFはニューロンや損傷を受けた組織のアストロサイトに発現する。この機序を明らかにする検討を行った。グリオーマ細胞を用いて、IL-1βはグリア細胞由来の神経成長因子(GDNF)の遊離を刺激すること見出し、この結果はIrB-nuclear factor kappaB、p38MAPkinase,p44/p42kinase,そしてJAK-STAT3の経路を介すること、しかしSAPK/JNKの経路ではないことをおいて明らかにした。 今年度のこれらの結果は、イオントランスポーターは、脊髄鎮痛制御機構にさまざまな影響を与えており、その役割は、正常の場合と損傷を受けた動物とによって異なることを示唆するものである。
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