研究課題/領域番号 |
19209054
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金子 道夫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60152807)
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研究分担者 |
家原 知子 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20285266)
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
田尻 達郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80304806)
菊田 敦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40224894)
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キーワード | 神経芽腫 / 臨床試験 / グループスタディ / アレイCGH / MYCN遺伝子 / ALK遺伝子 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
日本神経芽腫スタディグループ(JNBSG)により進行神経芽腫を対象に2つの臨床試験が実施され、さらに低リスク・中間リスク群も試験開始むけ準備中である。 これら試験の参加症例とそれ以外の神経芽腫が中央病理診断・中央分子生物学的診断がなされ、余剰検体が付随研究としてトランスレーショナルリサーチできる体制が組み上がりつつある。それらを用い、各登録症例の臨床情報と関連する分子情報の収集を網羅的かつ系統的に行った。昨年度に引き続き、DNAチップを用いた網羅的遺伝子発現解析とアレイCGH法によるゲノムコピー数異常解析を進めるとともに、進行神経芽腫におけるALK遺伝子のゲノム増幅の検索と遺伝子変異検索の手法を新たに確立した(Chenら,Nature2008,にて報告)。ALK遺伝子変異をもつ症例については、今後ALK阻害剤の開発による分子標的治療の可能性が拓けた。今後過去の症例についてALK遺伝子変異の頻度や神経芽腫における意義について解析を進めるとともに、ゲノム異常、遺伝子発現、病理分類等の分子情報の蓄積により、臨床研究のクオリティコントロールと、新規治療法に基づく腫瘍層別化システムの構築を行う。 局所遅延療法による臨床試験にエントリーした11症例について、予後に強く相関する1p, 2p, 11q, 17qの各染色体のゲノムコピー数異常、ならびに予後と強く関連する200遺伝子の遺伝子発現パターンに基づくサブグルーピングと、臨床経過との比較を行い、中央病理診断による組織型を組み合わせることで、腫瘍の分子プロファイルの解釈の精度を向上できることが示唆された。 神経芽腫患者血清中の遊離DNAを検索することでMYCN増幅が正確に同定できることが昨年の研究で判明したが、さらにDcR2遺伝子(DcR2)のプロモーター領域の異常メチル化を検討したところ、迅速、簡便かつ非侵襲的なNBの予後判定、微小残存病変の検出と治療効果の判定に有用であるとの成果が得られた。
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