イムノクロマトグラフィーを応用して簡易キット(Point of Care test:以下POCテストと略す)を開発した。POCテストはsCD14-STに特異的な抗体を金コロイドに結合したものを標識物として使用しており、メンブレンには異なる抗CD14-ST抗体が固相化する。本法は、血清と血漿でデータの差異は殆ど生ぜず、どちらでも約15分で敗血症診断が可能となった。POCテストによる、敗血症診断としてのカットオフ値を1+とすると、感度100%、特異度56%、有効度73%、カットオフ値を2+とすると、感度73%、特異度84%、有効度80%、カットオフ値を3+とすると感度47%、特異度96%、有効度78%であった。このことからPOCテストによる敗血症としては、POCテストで2+とするのがもっとも有効であることが示された。敗血症の診断マーカーとしてsCD14-STを用いた場合、ROC曲線下面積は0.817であり、血中で上昇するsCD14-STが他のマーカーに比較して敗血症の診断マーカーとしてより優れていることが示された。詑D14-STはまたプロカルシトニン(PCT)、敗血症に関連する組織傷害アセスメントスコアであるSOFAスコアと相関し、さらに、sCD14-ST濃度の変動は敗血症の重傷度と相関した。以上まとめると、これらの結果よりsCD14-STは敗血症の早期診断及び本疾患の重症度のモニタリングに有用であることが示唆された。今後、このような簡便な敗血症診断キットが普及すれば敗血症治療成績の向上に寄与するものと思われる。
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