研究課題/領域番号 |
19209058
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (40091326)
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研究分担者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30264055)
筑波 知子 (門脇 知子) 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (70336080)
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キーワード | 歯学 / 蛋白質 / トランスレーショナルリサーチ / 発現制御 / 薬理学 |
研究概要 |
本年度は、宿主側酵素カテプシンE(CatE)の免疫反応や悪性腫瘍における役割と、病原体酵素の歯周病原菌P.gingvalis由来Gingipainsの動脈硬化性心疾患や早産・低体重児出産における役割を追究した。得られた結果は以下の通りである。(1)CatEのマクロブァージおよび樹状細胞における制御機構と機能は明らかに異なっていた(J Immunol)。即ち、マクロファージでは、CatE欠損がリソソーム膜蛋白質LAMP-1やLAMP-2の特異的な蓄積と、それに伴うリソソーム性pHの著明な上昇をもたらし、種々の細胞機能に破綻をもたらした。それに対し、樹状細胞ではこのような変化は認められず、むしろ外来性抗原のプロセシング提示能が亢進していた。この亢進は、貪食能の増大と補欠補助因子の細胞表面での発現増大によることが示された。(2)CatEは、正常細胞にはほとんど影響することなく、癌細胞の増殖を強く抑制することが明らかとなった。これは、CatEが癌細胞表面からTRAILという分子を切断遊離し、これが癌細胞表面のデス受容体に結合してアポトーシスを誘導すること、腫瘍部位へのマクロファージの遊走能や活性を高め、癌細胞の傷害を誘導すること(Cancer Res)、さらにエンドスタチンなどの血管新生阻害因子を産生し、腫瘍血管新生を抑制すること(Biol Chem)などによることが示された。(3)マウスにP.gingivalisを感染させると菌量に依存して出産数の減少が見られたが、Gingipains欠損株やGingpains阻害剤の投与では出産数の減少が認められないことから、P.gingvalis感染による出生数の減少はGingipains作用によることが明らかとなった。
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