研究課題
根管充填歯を水中で18ヶ月保存した後の根尖部の変化について検討を行った。ヒト上顎前歯・小臼歯を使用した。根管充填直後、および水中にて18ヶ月保存後の根尖部をCCDカメラで撮影し、破折状況を比較した。前歯では新たな破折線が有意に多く認められ(p<0.05)、MAF#80の群では破折線の幅が広がりやすい(p<0.05)ことが明らかになった。根管処置で生じたひずみが徐々に開放されたことと関連があると思われた。垂直性歯根破折症例に対して接着再植を行う場合を想定し、各種接着材が歯根破折象牙質の接着に及ぼす影響について検討した。ウシ歯根部象牙質を垂直に半切し、3種の象牙質接着システムとコア用コンポジットレジンを用いて接着させた。その後、試料を水中浸漬(1日、1ヶ月)した後、微小引張り接着試験を行った。その結果、2ステップセルフエッチングプライマー接着システムを用いた際に最も高い接着強さが得られた。残存歯質が薄い症例,即ち漏斗状ポスト孔に対して支台築造を行う機会が増加している。そこで、適切な支台築造法を探求するために非線形有限要素法を用いて解析を行った。支台築造法は、金属鋳造コア、金属既製ポスト併用コンポジットレジンコア、グラスファイバー併用コンポジットレジンコアで、グラスファイバー併用コンポジットレジンコアが最も応力集中を防ぐことが明らかとなった。根管充填にガラス繊維を用いた根管充填用ポイントとレジン系ポイント・シーラーを用いることにより破折に要する荷重が大きくなり、根尖破折が減少した。牛歯を用いて規格化した擬似歯根を作製し、歯根の形態と歯根破折に要する荷重の関係を明らかにするために、象牙質切削のための器械を作製中である。また根管充填に接着性レジンシーラーを用いることにより歯根表面の変形が減少し、歯根破折を防止できるかについても検討している。
すべて 2008
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