研究課題/領域番号 |
19209060
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今里 聡 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80243244)
|
研究分担者 |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218286)
林 美加子 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40271027)
高橋 雄介 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (60397693)
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30243182)
|
キーワード | 抗菌性 / 歯科用修復材料 / レジンモノマー / 歯髄保存療法 / 根管治療 / 歯質接着 / 殺菌作用 / 耐性 |
研究概要 |
抗菌性モノマ-MDPBの各種治療法への応用等に関する各プロジェクトで、以下の成果が得られた。 1.歯髄保存療法への応用:象牙芽細胞様細胞による石灰化物形成た対する影響を、染色法とCa量測定により検討した結果、MDPBによる抑制作用はBis-GMAやMDPよりも弱いことが分かった。また,MDPBによる分化マーカーの発現に対する影響も、Bis-GMAやMDPと同レベルであった。一方、MDPB配合接着システムとCa(OH)_2製剤による直接覆髄処置の成績をランダム化割付臨床試験にて1年まで評価した結果、両者に差はなく、う蝕による露髄に対しても、抗菌性接着システムを用いることによって歯髄を保存できる可能性があることが示された。 2.根管治療への応用:染色法と菌数測定法での評価の結果、浮遊、バイオフィルム状態のいずれであっても、1000μg/mlのMDPBとの60秒間の接触で感染根管関連細菌が完全に死滅することが分かった。また、5%MDPBを配合したツーステップ根管充填用レジンシーラーの試作に成功した。 3.外科的歯内療法・歯の再植療法への応用:5%MDPB配合試作レジンにおいては、抗菌成分の溶出が認められないにもかかわらず表面へのS. mutansの付着が抑制されること、および、1〜15%MDPB配合レジン間に歯根象牙質への接着性には差がないことが分かった。 4.マルチパーパス接着処理剤への応用:HEMAベースの処理剤にMDPBを配合する場合、象牙質接着性の点では5%までが望ましいことが分かった。また、5%MDPB配合試作処理剤が嫌気性菌に対して明瞭な殺菌効果を示すことが確認された。 5.MDPBに対する耐性菌出現の可能性の検討:低濃度のMDPBによるS.mutansの糖代謝活性への影響を検討した結果、sub-MICレベルのMDPBでも酸産生が抑制され、pH低下を抑える効果のあることが分かった。
|