研究概要 |
本研究の目的が、セメント質誘導性機能性ペプチドの開発であるが、平成19年度には、共同研究者の芝らが開発した研究により、細胞のインテグリンなどと結合するRGDモチーフのタンパク質とチタンに結合するタンパク(TBP-1)を応用し、チタン上に両モチーフを含む合成タンパク質をMolclaftにより作製し、以下の点について検討した。まず、人工タンパク質の細胞接着アッセイとして、RGDとタンTBPを含む人工タンパクをチタンへ固定した。その後、人工タンパク質吸着量を水晶発振子マイクロバランス(QCM)法にて測定し、接着していることを確認した。さらに、X線光電子分光分析で表面分析を行い、人工タンパク質の結合状態を検討した。次に、人工タンパク固定チタン上での細胞培養試験をおこなった。まず、マウス骨芽細胞様細胞であるMC3T3細胞を人工タンパク固定表面上で培養し、通法による細胞増殖能の測定をおこなったところ対照群に比べ有意に細胞の増殖が認められた。さらに、細胞の広がりをアクチンおよびビンキュリンタンパクを用いて、備品にて購入した共焦点レーザー顕微鏡による細胞形態観察をおこなったところ、人工タンパク質を固定したもので、より細胞の接着と伸展が見られた。さらに、人工タンパク上での細胞分化への検討について、骨またはセメント芽細胞への分化の検索(Al-p,Bone sialoprotein,Dentin sialoprotein,Cementum sialoprotein,Osteopontin,Osteocalcin,Collagen)RT-PCR法を用いてmRNAレベルと、蛋白解析をし、いずれも対照群に比べ有意に早い分化を示すことが明らかとなった。以上について、International Association for Dental Research,2007,New Olinsおよび第5回日本再生歯科医学会総会にて発表した。
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