研究概要 |
本研究の目的が、機能性インプラントのためのセメント質誘導ペプチドの開発であるが、平成20年度には、共同研究者の芝らが開発した研究により、細胞のインテグリンなどと結合するRGDモチーフのタンパク質とチタンに結合するタンパク(TBP-1)を応用し、チタン上に両モチーフを含む合成タンパク質をMolclaftにより作製し、in vitroによるデータを重ね発表し、Kokubun,K., Kashiwagi, K., Yoshinari, M., Inoue, T., Shiba, K.Motif-programmedarttificaila extracellular matrix, Biomacromolecules, Volume 9, Number 11, pages 3098-3105, 2008に掲載された。この結果、従来タンパク質がつくことの無かったチタンインプラントの表面にTBP-1を介して様々なタンパク質をつけることが可能となった。本研究の目的を達成するためには、チタン上にセメント質を誘導する必要があり、21年度ではTBP-1にrh-BMP2を含む合成タンパクをMolclaftにより創製し、チタンScaffoldに結合させて、in vitroおよびin vivoにおける機能活性について検討を行った。その結果、合成タンパク添加群では培養骨芽細胞の分化指標であるRunx-2, Alp, Osteocalcinなどの遺伝子発現が顕著で、in vivoにおける移植実験においても、内軟骨性仮骨を誘導し、in vitroで見られた骨関連タンパクの遺伝子発現も顕著に高く認められた。本研究は現在雑誌投稿中である。しかし、これらの良好な結果が得られたにも関わらず、課題も残った。つまり、チタン上に骨の形成を誘導することができたが、それがセメント質とは言えない。さらに、創傷の治癒を考えたとき、適切な時期に、必要なタンパク質が徐放され、細胞に働く必要がある。そのためには、Drug Delivery systemの構築が要求され、適切な時期に適切なタンパクがインプラント周囲の細胞に働く必要がある。今後さらに、検討を重ねTranslational Researchの確立として人への応用が可能になるよう研究を続ける予定である。 連携研究者:吉成正雄(東京歯科大学・歯学部・教授)松坂賢一(東京歯科大学・歯学部・准教授)
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