研究課題/領域番号 |
19209064
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
雫石 聰 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00028789)
|
研究分担者 |
大月 道夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00403056)
田中 宗雄 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90263300)
久保庭 雅惠 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00303983)
関根 伸一 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70506344)
|
キーワード | バイオフィルム / 歯周病 / Porphyromonas gingivalis / Fusobacterium nucleatum / 免疫 |
研究概要 |
本年度はマウスモデルによってメタポリックシンドロームを増悪させる可能性が示唆された歯周病原性菌Porphyromonas gingivalisのバイオフイルムモデルをin vitroで構築し.バイオフイルム形成においてP.gingivalisの主たる病原因子である線毛とプロテアーゼが果たす役割について.種々の変異株を用いて多面的に検討した。その結果.2種類の異なる長さの線毛のうち.長線毛は同菌の固層への定着を促進するが短線毛の存在は影響しないこと.菌体外マトリックス産生には共に抑制的に働くことが明らかとなった。さらに.同菌の長線毛と結合能を有する口腔常在菌Streptococcus oralis菌体表層タンパクであるglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenaseのアミノ酸配列18残基を合成して得られたペプチドにより.P.gingivalisとS.oralisとの混合バイオフイルム形成が阻害されることが示された。また.歯周病原性バイオフィルムの構成に重要な役割を果たすFusobacterium nucleatumの表層タンパクである40kDa-FomAが.唾液タンパク質スタセリン由来のペプチドYQPVPEと強く結合することが明らかとなり.さらに.40kDa-FomA欠損変異体を作製し結合実験に用いたところ.YQpVPEとの結合活性を失ったことからその重要性を確認することができた。そして.FomAを抗原タンパクとして.また.コレラトキシンをアジュバントとしてマウスに免疫したところ.唾液中に著しい抗FomA抗体の産生が確認され.スタセリンで被覆されたプレートへのF.nucleatumの結合を阻害した。これらのことから.口腔内におけるF.nucleatumバイオフィルム形成阻害において.40kDa-FomA特異的な免疫が効果的な方法であることが示唆された。
|