研究課題/領域番号 |
19251001
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
沢田 正昭 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (20000490)
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研究分担者 |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
片山 葉子 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 教授 (90165415)
中川 武 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30063770)
池内 克史 東京大学, 情報学環, 教授 (30282601)
松井 敏也 筑波大学, 人間総合科学研究科, 准教授 (60306074)
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キーワード | カンボジア / バイヨン / 鉱物劣化 / 着生微生物 / 保存科学 |
研究概要 |
バイヨン寺院における内外の回廊には屋根がなお遺存している箇所と、すでに損壊して失われている箇所がある。そのことと、浮き彫り表面の保存状態と密接な関連があると推定している。そこで、まず浮き彫りの劣化要因を明らかにするため内回廊の含水率の年変化を調べ、表面吸水量測定を行った。その結果、レリーフ劣化の最大要因はレリーフの背後にある基壇からの雨水起源の水の浸透にあり、この水から析出される炭酸カルシウムによる塩類風化が原因であることを明らかにした。また、砂岩表面に生息する微生物については、石材劣化に関わる硫黄酸化能をもつ細菌と菌類の分離、遺伝情報に基づく微生物叢の解析、バイオフィルムの生育に影響を及ぼす菌類の分離とその性質について調査した。さらに、その壁面着生生物のスペクトル画像計測を実施し、前年度のデータと比較することでレリーフを保護するために設置した覆屋による着生生物の繁殖の影響を調査した。 他方、総合的な保存対策では砂岩を如何に強化するかがひとつの課題であり、珪酸エステルをベースにした強化剤の耐候性を検討している。そのモノマー成分とポリマー成分の特性を活かした用法をもとに処理した砂岩製試験体の暴露試験、また亀裂等補修用充填剤の耐候試験を行った。さらに、バイヨン寺院の浮き彫りを歴史的に位置付けることを目的に,6世紀前後のカンボジア南部のプレ・アンコール遺跡,10世紀末?11世紀初のタ・ケウ、そして12世紀初のベン・メアレアやアンコール・ワットなどが各々の段階の建築と美術の関係を具体的に象徴していることを明らかにした。
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