研究課題/領域番号 |
19251002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
太田 至 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (60191938)
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研究分担者 |
内海 成治 大阪大学, 人間科学部, 教授 (80283711)
佐藤 俊 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (00114497)
北村 光二 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (20161490)
作道 信介 弘前大学, 人文学部, 教授 (50187077)
河合 香吏 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (50293585)
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キーワード | 人類学 / 国際協力 / ローカル・プラクティス / 開発研究 / アフリカ牧畜社会 / リスク・マネージメント / 在来性 |
研究概要 |
本研究では、東アフリカのケニア共和国、ウガンダ共和国、エチオピア連邦共和国に分布する牧畜社会を対象として現地調査とデータの整理・分析を実施したが、タンザニア連合共和国においても予備的な現地調査をおこなった。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)開発の方法論に関する理論的な検討をおこなった結果、(a)開発人類学の方法論には、地元の社会や文化を尊重するあまり、開発に関する積極的な提言をなし得ないという問題があること、(b)開発の分野で主流となっている「参加型開発」の手法は方法論としてさまざまな問題点を内包していることが明らかになった。 (2)ケニア北部のレンディーレ社会では、14年ぶりに実施された少年の集団割礼に関する現地調査を実施する機会にめぐまれ、重要な社会資源のひとつであるクランの共体性が崩壊しつつあることが明らかになった。 (3)ケニアのトゥルカナ社会では隣接する民族との敵対的な関係の結果、生態資源が十分に利用されていないことが明らかになった。 (4)トゥルカナ社会における病気治療に関して、マッサージ師、集合的な踊りをともなう治療をおこなう治療師、薬草売りに関する調査をおこなった。 (5)ケニアのアリアール社会では2007年末におこなわれた総選挙のときに政治的・経済的・文化的な資源をめぐって民族間の対立が激化したことが明らかになった。 (6)エチオピア南部ではガブラ・ミゴとボラナ、グジという三つの民族を構成要素とする地域構造の再編成に関する分析を紛争と生態資源の利用に注目しながらおこなった。 (7)エチオピアのダサネッチ社会では、人びとを隣接民族との戦争に動員するイデオロギーが存在すると同時に、戦争に参加しない個人の意志を尊重する機序も存在すること、また、民族の境界を越えた親族・友人関係が形成されていることが明らかになった。
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