本研究の目的は、現代アフリカに生きる人びとによって絶え間なく創り出される様々な知(=在来知)の生成の現場に我々が立ち会い、その動態を地域研究の視点からフィールドワークによって解明することにある。さらに、人びとが在来知をより良き生活のために活かそうとする営み(=ポジティブな実践)に注目し、その意味をグローカルな文脈に位置づけて理解することにある。 「在来知(Local knowledge)」は、人びとが自然・社会環境と日々関わるなかで形成される実践的、経験的な知である。このような「知」を実体として取り出してみせることはできない。本研究ではそれぞれの局面で立ち現れる知の存在様式(構造と機能、およびそれらの動態)に注目してその生成と実践の過程を扱うことにした。3つの研究ユニット(生業知、関係知、思惟知)と8つの研究班(在来農業、ものつくり、生物多様性の在来的保全、コミュニティ・コンサベーション、介入と交渉、開発と在来組織、音楽・宗教実践・映像、アフリカ哲学)を組織して、エチオピアを対象に集中的なフィールドワークと国際ワークショップ・研究会を実施してきた。(*2008年度に追加した研究班)
|